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雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。
<ざっくり要件>(※コロナ特例に限ります)
1)コロナの影響で売り上げが前年同月比で5%以上下がっている。
2)売り上げ減により休業せざるを得なくなり、従業員に休業手当を支払った。
3)助成額の上限は1日一人当たり8,330円である。
▼助成金の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
▼雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)(4月13日現在)
https://roumu.com/archives/102102.html
▼雇用調整助成金FAQ(4月14日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/000621561.pdf
▼雇用調整助成金 支給要領(4月13日現在)
https://roumu.com/archives/102068.html
最も気になるのが「自社は助成金がもらえるか否か?」ですよね。
そこで、私へのご質問が多い事例について、ピックアップしてお知らせします。
1)社内全員休業しないとダメなの?一部の人でもいいの?
全員一斉である必要はありません。一部の人でも大丈夫です。
但し、一日単位ではなく「短時間休業」の場合は、部署ごと等の一定のまとまりで行われなければなりません。
2)休業の理由はコロナが関係していなければいけないの?
今回の特例は「コロナの影響で事業縮小を余儀なくされ、雇用維持のために休業した」場合が対象となります。
(ただ、現在ほとんどの業種がコロナの影響は受けていると言えると思います)
3)「生産指標」が「1ヶ月5%以上低下」って、いつ時点の何を見て判断すればいいの?(FAQの問67)
「生産指標」は、販売量、売上高等の事業活動を示す指標のことです。
(※既存の「売上簿」「営業収入簿」「会計システムの帳票」などで確認します。)
なお「5%低下」の比較は、「計画届を提出した日の前月」と「その前年同月分」で行います。
例を挙げると以下のとおりです。
【例】
① 5月に休業実施して、6月に計画届出を提出(事後)
→令和 2 年 5 月分と令和元年 5 月分の比較
② 5月に休業実施して、5月に計画届出を提出(同時)
→令和 2 年 4 月分と平成 31 年 4 月分の比較
※一番多いと思われるものはこのケースです。
③ 5月に休業実施して、4 月に計画届出を提出(事前)
→令和 2 年 3 月分と平成 31 年 3 月分の比較
4)何日休業しないとダメという最低ラインはあるの?
「休業規模要件」という要件があります。中小企業(1/40)のケースで例示します。
【例】社内(中小企業)に雇用保険被保険者である労働者が3名(A,B,C)いる。
この3名(A,B,C)の休業した月の所定労働日数が、各々
「A:22日、B:20日、C:18日」である場合
<計算式>
その月の所定労働日数の合計:22日+20日+18日=60日
60日×1/40=延べ1.5日以上の休業が必要
3人で延べ1.5日ですので、全員が1日休めば余裕で満たせます。
今回の特例では、事業所単位でみて、
①雇用保険受給者のみ
②雇用保険受給者以外の者のみ
③雇用保険受給者と受給者以外の合算
のいずれかの休業等の延日数が、
対象労働者の所定労働日数の1/40以上ならOKとなっています。
5)助成金っていくらもらえるの?(FAQの問68)
誤解として多いのは、実際に今回、休業手当として支払った金額に助成率(※)をかけたものが助成金の金額であるというものですが、違います。
(※)助成率:中小企業は5/4(解雇等を行わなければ9/10)
実際は、昨年の労働保険の年度更新の「確定保険料申告書(様式6号)」の数字を使います。(※下記の計算式は雇用保険加入者のみ。雇用保険未加入者は別の計算によります)
計算式は以下の通りです。
助成金の額 =(A)÷{(B)×(C)}×(D)×助成率(※)
【注意】1人1日あたり8,330円が上限です。(令和2年3月1日時点)
(A)確定保険料申告書(様式6号)の「⑧保険料・一般拠出金算定基礎額」のうち
「雇用保険適用者分」の額
(書類を実際に見ればわかります)
(B)(A)と同じ書類の「⑤雇用保険被保険者数」(月平均)
(C)前年度の会社の所定労働日数
(人ごとに所定労働日数が異なる場合は加重平均で算出。詳しくは申請書様式特第8号の
解説参照)
(D)休業手当の支払い率(少なくとも60%以上)
6)解雇等をしていなければ助成率が引き上げられるようだけど、いつからの期間で判定するの?そもそも「解雇等」とは?
1月24日以降に次のような解雇を行っていなければ、助成率が中小企業は9/10、大企業は3/4に引き上げられます。
・期間の定めのない労働者を、事業主都合による解雇した場合
・期間の定めのある労働者を、解雇とみなされる労働者の雇い止め、事業主都合による中途契約解除等した場合
・派遣労働者を、契約期間満了前に事業主都合により契約解除等した場合
7)内定後、1日も勤務していない人でも対象になるの?(FAQの問24)
対象になります。但し、当然ですが、休業開始日からきちんと従業員として雇用されている必要があり、雇用保険や社会保険の加入義務者であれば、加入手続きが行われていなければなりません。
8)退職予定者でも対象になるの?
以下の方は対象外です。
① 解雇予告された者
② 退職願を出した者
③ 事業主からの退職勧奨に応じた者
④ 併給調整の対象となる助成金の対象者
9)休業手当の計算方法は?