雇用調整助成金②

社労士および各社の総務担当者を悩ませ続けている「雇用調整助成金」ですが、GW前から今まで、毎日毎日、変更に次ぐ変更で、何が正解なのか分からないくらい大混乱しております。

まだ正式に適用時期が決まっていないものも含め、ここ最近変更になった内容をお知らせいたします。

▼リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000630379.pdf

1)小規模事業主(従業員が概ね20人以下)は、「実際に支払った休業手当の金額」を元に助成額を計算できるようになります!

今までの計算方法は、私が以前書いた記事「雇用調整助成金①」の「5)」をご参照いただきたいのですが、おそらくアレを見てもよくわからないと思います(笑)

よって、そんな面倒な計算をしなくても「実際に支払った額に割合をかける」という、とても単純な計算式でもOKとなりました。
もちろん、支払うべき休業手当は、労基法で定める額(平均賃金の6割以上)を下回ってはいけません。
小規模の会社さん限定ですが、これであれば計算はめちゃくちゃ楽です。

2)休業等計画届の提出が不要になります!

本来は事前に提出すべき休業等計画届ですが、現在「後出しOK」の特例が適用されております。そこからさらに一歩進んで「もう提出自体不要!」となります。

ただ、助成金の要件である「5%売り上げ減」は、「計画届を提出した月の前月」で見ることになっていたので、計画書の提出自体が不要となると、5%要件をどこの月で判断するのか?という新たな疑問が出てきます。これは19日の発表を待ちたいと思います。

3)助成額の計算方法が楽になります!
(適用時期など詳細は5月19日に発表予定)

ざっくり言えば、以下の2点が変更になりました。

①「労働保険確定保険料申告書」で計算していた平均賃金額を、「源泉所得税」の納付書で計算できるようになりました。

これは何でなのかしら・・・昨年の年度更新を行っていない会社さんのための措置なのかな?

ただ、選択肢が増えたということは、どちらの計算の方がお得かの試算が必要になるので、少し手間が増えたとも言えます。(「源泉所得税」の方は、役員報酬や雇用保険未加入の賃金も含まれるので、どちらの方が高くなるかは各社ごとに異なります)

②計算に使用していた「所定労働日数」の計算がざっくりでOKとなります。

シフト制の業界(飲食業など)の場合、特にバイトさん等は「所定労働日数(契約上働く義務のある日)」が明確ではなく、なかなか数字が定まらなかったのですが、リーフレットにもある通り、ざっくりと計算することでもOKとされました。

そして、現時点で公式から発表はありませんが、

「助成額の上限が8,330円から15,000円になる」「休業手当が支給されない会社に勤務する従業員に直接給与保障する『別の制度』が新しくできる」などの報道があります。

とにかく、驚くほどの混迷の中にある雇用調整助成金。

今後の動向もしっかりチェックしていきたいと思います!